情念は古代ギリシャ以来、多くの哲学者によって探究されてきた。しかし、その理解は心理学・倫理学・宗教・形而上学など多様な立場から論じられ、いまだ統一的な構造理論には至っていない。本稿では、情念研究の系譜を辿りながら、凪原斗真が提唱する「感情論理学」の視点を加え、各思想家の理論を現代的な観点から再検討することを目的とする。まず、本稿で取り上げる哲学者たちの立場と、凪原理論との全体的な位置づけを概観しておこう。下図は各思想家の代表的な見解と、感情論理学における情念構造との対応関係を模式的に示したものである。詳細については、各哲学者の章で順に検討していく。情念について語る哲学者たちは、それぞれ異なる時代背景と問題意識をもっていた。ある者は理性との関係を重視し、ある者は自由や道徳との関係を論じ、またある者は生命力や存在そのものとの結びつきを探究している。本稿では、それらの思想を単に年代順に紹介するのではなく、「情念はどのような構造をもち、人間の判断や行動にどのような影響を与えるのか」という共通の問いを軸に読み解いていく。


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